コラム
生前整理の進め方と依頼する業者の選び方
近年よく聞かれるワードで、「遺品整理」というものがあります。
これは、様々な要因で亡くなった方がいた場合、残された生活用品などを片付けることを指しています。
一方、生前整理というのは、まだ自身が元気なうちに先々のことを考えつつ、ある程度身辺の整理をしておくことです。
いわゆる終活にも通じるものではありますが、体力があるうち、時間をかけられるうちにということで、30代、40代から生前整理を考える方も増えているようです。
事故などで突然この世を去ることになるケースは、誰にでも考えられることですから、できればはやめに動き出しておいた方が良いのかもしれません。
ここではいつか直面するかもしれない「その時」のために、生前整理とそれに関わる業者を選ぶ際のアドバイスをご紹介いたします。
生前整理は周りの方々に負担をかけないための備え
生前整理をするのは、いざという時「少しでも遺される方々に負担をかけないように備える」というのが1番の目的です。
たとえ病気などである程度覚悟をしていた場合でも、人1人が亡くなった場合、葬儀をはじめ、諸々の手続きなどで遺族は疲弊するものです。
まして突然亡くなられた場合なら、その負担は何倍にもなることでしょう。
さらに、昨今は独り暮らしの世帯が増えたこともあり、亡くなった場合の遺品の整理は、遺族になった方への相当な重荷になってしまうことが考えられます。
今実際に片付けてしまったり、捨てたりしなくても、身の回りを整理して物を減らしたり、自分が亡くなったあとの行き先などの希望を記録しておけば、遺された方々も少し安心できるでしょう。
まずは、要るものと要らないものを分けてみてください。
実際に着てはいないものの取っておきたい洋服や、思い出の品などは、すぐに捨てなくても問題はありません。
今使っているものや大切なもの、使わないのが確実で捨ててもいいもの、どちらでもないものなどに分け、先々何を残して何を処分するのか、自分で決めておくことが大切です。
断捨離や、片付けメソッドのような情報は溢れているので、それを参考にしても良いでしょう。
葬儀ここではいつか直面するかもしれなの希望や財産のこと、遺した品々の処分方法などに希望があれば、文章にしておかなければ周囲の方にはわかりません。
もし遺したものの行き先などに希望があるなら、ノートなどに文書として記しておきましょう。
また、遺言書が無くても法律によって財産分与はされますが、もしきちんと意思を示しておきたいのなら、弁護士や公証役場のサポートを受けて、法的に有効な遺言書を作っておくことをおすすめします。
生前整理の業者とは?
生前整理をはじめてみると、呆れるくらいの量のものと、処分しなければならないものが出てくると思います。
タンスや押し入れの奥などから、こんなものがあったのかというようなものが、とんでもない量現れることでしょう。
これを要るものと要らないものに分けるだけでも、かなりの体力と気力が必要になりますから、まだ体力があるうちにはじめるのがおすすめなのです。
この際に断捨離を兼ねれば、今の生活もすっきりと片付いて、気持ちのいいものになるでしょう。
また、もし不用品などで売却が可能なものがあれば、リサイクルショップなどに引き取り依頼してみてください。そうはいっても、あふれる物とごみに圧倒されてしまった時には、生前整理に対応している業者に相談してみるのも1つの方法です。
生前整理を行う業者は、指示に従って身の回りの品の整理を手伝ったり、家財の移動や整理して出た不用品の処分などに対応しています。
たとえ生前整理をはじめるのがまだ若いうちだとしても、重い荷物を運んだり、大きな家具を処分したりするのは、1人の力では無理なこともあるでしょう。
生前整理を行う業者は、大抵の場合は不用品の回収・処理も行うことが多いので、不要な家具の運び出しからトラックへの積み込み、そして処分するまでを作業の対象としています。
1人ではじめて行き詰まってしまった時、生前整理に対応する業者に相談してみることをおすすめします。
生前整理を業者に依頼する時のポイント
生前整理を行う業者は、大抵の場合、不用品の処分にも対応していると申し上げましたが、不用品処分や不用品の回収を行う業者は増加してきており、残念なことに中には優良とはいえない業者もみられるのが現状です。
生前整理も一生のうち何度も考えることではないでしょうから、どの業者を選んだら良いのか、判断が難しくなることと思います。
そういった場合に注意すべきポイントが、下記になります。
ホームページが存在するか
誰もがネットで閲覧可能なホームページは、いまや一般企業では顔のようなものなので、ほとんどの業者が公開していることと思います。
ただ、小さな業者ではFacebook(フェイスブック)のような、手軽に発信ができるSNSの利用しかしていないことがあるかもしれません。
しかし、ネットに全く情報が上がっていない業者は、避けるのが無難でしょう。
料金体系を示しているか
ホームページ上には、様々な料金の記載があるはずです。一般的には軽トラック1台分でいくら、2tトラック1台分でいくらなどのパック料金を用意していることが多いようです。
また、その業者がどのようなサービスを行っているかの記載もあるはずですから、併せてそこも見てみてると良いでしょう。
事業所が有している許可や免許などをきちんと公開しているか
産業廃棄物の収集運搬を委託されるには「産業廃棄物収集運搬業許可」、不用品の買い取りを行う場合は「古物商許可」が必要です。
産業廃棄物収集運搬業許可は、取得や更新には経営状態に問題はないか、収集運搬業を行える車両をきちんと保有しているかなどが許可の条件になっています。
また、古物商許可は欠格要件というものを設定しており、その中の項目に1つでも該当すると、許可を受けることができません。
許可申請は事業所所在地を管轄する警察署の、生活安全課防犯係に行います。
上記のことから、この2つの許可を受けていることも、優良な業者を選ぶ際の一定の基準にはなりそうです。
また、生前整理を依頼する場合には、遺品整理士の資格を有するスタッフが在職していると、生前整理をしようという気持ちをより深く理解しているでしょうから、安心できるポイントになるでしょう。
無料の相談や見積りを依頼できるか
一般的にですが、整理したいものがどの程度あるのか、現状を見ないとはっきりした料金は示すのが難しいことがほとんどのはずです。
整理するものの量が少なかったり、依頼の内容が複雑なものでない場合を除いて、3、4社に見積り依頼することをおすすめします。
そして見積りの際に、どういった場合に追加の料金が発生するかなどを細かく訊いて、疑問が残らないようにしてください。
優良な業者はどんな疑問にも、面倒臭がらずにきちんと回答するはずです。
また、見積書は後々の行き違いを防ぐためにも、必ず書面やメールなど、後に残る形で提出させるようにしてください。
生前整理はこれから先をより良く、明るく生きていくために行うものです。
その1歩を踏み出すために、利用できる手段を適切に使いつつ、少しずつでもはじめてみてはいかがでしょう。