コラム
故人宅のハウスクリーニングで注意しなければならないこと
もし、孤立死と呼ばれる状態で発見された方のお宅を引き払わなければならない場合、遺品整理とともに大掛かりな部屋の掃除も必要になることがあります。
例えばそれが親や兄弟のように近しい人であったとしても、一緒に住んでいなかったり、ほとんど行き来がなかった状態であれば、どこに何がどれくらいあるのかもわからず、遺品の処分には相当な気を使うでしょう。
ましてやそこで故人が亡くなり、発見まで日を要した場合には、部屋全体に臭いが染み付いてしまっていることも多いものです。
ご自身での清掃が難しいと判断した際には、業者への依頼を考えるところですが、こうした場合の清掃は、ハウスクリーニング業者への依頼を考えるところでしょう。
そこで、故人のお宅の場合に気をつけておきたいことを、お伝えしてまいりましょう。
孤立死の場合の遺品整理
まず気を使わねばならないのは、処分して良いものとそうでないものの分別です。
紙類には必要な書類などが混入していることも考えられますから、1つ1つ確認していかなければなりません。
家具や家電も、不用品ということで処分する場合には、自治体ごとのルールに従って、燃やせるごみと燃やせないごみ、粗大ごみなどを分類しなければ、ごみとして回収してもらえなくなってしまいます。
また、たとえ故人がさほど大切に扱っていなかったとしても、貴金属や骨董的な価値があるものが残されているかもしれません。
お年を召した方の場合だと、ものを捨てずに取っておく傾向があり、残されたものの量が非常に多いというケースが多いのが実情で、ハウスクリーニングよりも、まずこの遺品整理でつまずいてしまう方も少なくないのです。
特に遺品の整理をしなければならないお宅が住まいから遠い場合、その負担は何倍にもなってしまうことでしょう。
そして、ようやく部屋から残されたものを運び出したと思ったら、今度は部屋全体の掃除をしなければなりません。
もしかしたら、この頃にはもう気力も体力も使い果たしてしまっているかもしれませんが…
自力では難しいと思った時
ハウスクリーニングを専門に行う業者があるのは、ご存じだと思います。
一般的なハウスクリーニング業者には、例えばキッチンで中々掃除が行き届かない換気扇の分解清掃や、エアコンの内部のクリーニングを依頼することが多いと思います。
近年では家庭で定期的に日常的な清掃を行うコースも充実しているようですが、そこはあくまで一般的な清掃が主な作業です。
ところが孤立死された故人のお宅などで一番問題になるのは、そういった一般的な清掃では解決できない、特殊な臭いや汚れ…
こういったものに一般家庭向けのハウスクリーニング業者が対処できないことも、十分に考えられます。
また、遺品整理と併せて清掃も行いたいとお考えの場合も、相談したり依頼したりするのは、遺品整理業者や特殊清掃業者が妥当でしょう。
臭いなどがあった場合には
故人がご自宅で亡くなって、すぐに発見されなかった場合には、部屋や家全体に、臭いが染み付いてしまっていることが少なくありません。
この独特な臭いは、普通にクリーニングをしただけでは落とすことができないので、特殊清掃が可能な業者へ依頼することになるかと思います。
特殊清掃業者はそういった臭いを除去する薬品や道具などを備えていますし、遺品整理なども併せて行っていることが多いので、相談してみると良いでしょう。
遺品整理業者・特殊清掃業者の仕事内容
遺品整理と一口で言うものの、これに認定資格があるのをご存じでしょうか。
映画などでも取り上げられたことがあるので、知っているという方もいらっしゃるかもしれませんが、一般社団法人遺品整理士認定協会が認定する「遺品整理士」がそれです。
遺品整理士は、故人が残されたものの整理、不用品と必要なものの分別、不用品の適切な処分などを行うことを旨とした職業です。
遺品を単なる不用品として扱うのではなく、ご供養が必要なものはその手はずをしたり、法的な判断が必要なものがあれば、専門家を紹介するなども行います。
遺族の意思を汲み取って作業にあたったり、遺品整理のアドバイスなども行うことで、遺族のサポートにもあたります。
近年では特殊清掃や遺品整理の業者に遺品整理士が在籍していることも多く、依頼する側の安心感にも繋がっているようです。
また、一般的な粗大ごみとして自治体に回収の依頼をした場合、それを家の外まで運び出す必要がありますが、遺品整理業者であれば、家具や寝具、不用品などの回収も行います。
業者の場合は運び出すところから対応しますので、相当な手間が省けることは確かでしょう。
特殊清掃業者は、部屋全体についた臭いの除去や除菌、シミを抜くなどの対応を行います。
業者をどうやって探す?
業者に依頼した場合は無論有料になりますから、きちんとした仕事ができることが大切です。
特殊清掃や遺品整理などを、利用したことがあるという方はそうそういないはずですから、業者を探すのもやや手間がかかることになってしまいますが、これは仕方がないことでしょう。
優良な業者を探すには、まず相談と見積りが必要になります。
大抵の場合は実際に現状を見なければ、不用品の量や部屋の汚れ具合がわかりませんから、見積りは無料で行うという業者が多いようです。
また、見積りは必ず数社から相見積もりを取ることとして、作業の流れや費用など、わからないことはしっかりと訊いて、行き違いのないようにすることが大切です。
細かい遺品の整理などは遺族が行わなければなりませんが、その他の不用品の運び出しや回収、負担の大きい部屋の清掃などは、遺品整理業者や特殊清掃業者に任せることも可能だということをぜひ知っておいてください。
遺品の整理や処分、清掃などに困ったもしもの時に、きっとお役に立つことでしょう。